除夜のテキストラーイク祭り


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「主題のない変奏曲」


***




 こうしてネットで遊んでいる貴方ならwwwが何の略であるかぐらい瞬時にファイナルアンサーするに違いないでしょうが、もし万が一知らない方がお見えでしたら調べてみてはいかがでしょう。廃文を読むよりは有意義な時間になると思います。ていうかむしろ寝ろ。三時だぞ。


 なお読むにしても、掲示時間が三時間という長丁場でもありますので、掃除ですとか調理ですとか、そうした家事の合間にちょこちょこ読むことを推奨いたします。当方はひとつの長文で皆様を三時間も釘付けにする力量を持ち合わせておりませんので、長かったり短かったりする、互いに何の脈絡もない文章をいくつか適当にぶち込みました。そういうことです。


 内容は基本的に日記だったり妄想だったり妄想日記だったりします。
 それではどうぞお楽しみください。僕は寝ます。




***




 近所の友人が最近僕の姿を見たという。彼の家の前に僕がいたらしい。ところがその場所と時間を検討するに、明らかにそれは僕ではないのだ。その時間、僕は自宅にいた。しかし友人は「絶対お前だったって」と一歩も譲ろうとしない。それも、一度のことではないそうだ。別の日にもまた、僕をそこで見たという。自転車で走り去って行ったそうだ。最寄のコンビニにいたこともあるらしい。時間的にありえない。


 ドッペルゲンガー、という言葉が脳裏をよぎった。
 ドッペルゲンガーに会うと死ぬ。


 彼の言うことが正しいのだとすれば、ドッペルゲンガーはかなり、僕に接近していることになる。彼の家と僕の家は相当近いのだ。
 僕はもう一度冷静に聞いてみた。
 「それって本当に僕でゃ、僕だった!?」
 噛んだ。


 しかし彼は首肯するだけだった。
 曰く、


・着ていたコートからしてお前だった
・乗っていた自転車からしてお前だった
・ていうか顔がお前だった


 らしいのである。
 ここまで言われると反論できない。
 僕の愛用しているコートはベージュのダッフルコート。そこまでマイノリティな服装ではないにしろ、やはり黒のコートなどに比べれば着用人口は少ない。
 僕の自転車は母親ゆずりのママチャリ。母親が三十年以上使っていたもので、古く汚くかなり特徴的。ハンドルも学生が乗るようなストレートハンドルではなく、湾曲型のもの。ベージュのダッフルコートを着てそんな自転車に乗った人間を見たら、僕だって「あ、僕だ」と思うだろう。
 それに僕の顔にしたってそれは母親と父親の共同作業の結晶であるから、なかなかレアな存在である。
 これらの条件から結論を導き出すとすれば、


 「友人が見たのは極めて僕に近い人間、もしくは人間を超えた何かであったに違いない」、だ。


 ドッペルゲンガー。


 ひいいい


 なにやらとても怖いので、友人には「あっ、ごめんごめんやっぱり僕、その時そこにいたし、コンビニも行った行った、めっちゃ行った!」と言っておいた。


 友人は笑いながら「ほーらみろやっぱり」と言った。


 僕も笑った。二人で笑った。その後で三分間ぐらい黙った。




***




非常袋


「 ラジオに懐中電灯に救急箱。 」
「 うんうん。 」
「 乾パンに水に缶詰。 」
「 そうそう。 」
「 遺書。 」
「 完璧。 」




***




 タージ・マハル宮殿をご存じだろうか。実際に行ったことはなくとも学生時代に社会や美術の教科書、あるいはもしかしたら数学の教科書で見たことがあるという方も多いと思う。そのタマネギあるいはウンコにも似た巨大建造物は我々日本人の目には奇異なものに映るかもしれないが、イスラム様式の建築としてはこの形は実はデファクト・スタンダードに近いものであり、地方に散らばるさまざまなモスクにこうした形状が用いられている。


 しかし散らばっている中でもひときわ目を引くこの白ウンコがタージ・マハルであり、イスラム建築の最高傑作と名高い。ビジュアル的に美しいのはもちろん、数学的にも美しいこの建築物は、構造が完全な線対称になっているという。建築材料は豪華な白大理石が主だが、他にも装飾として翡翠やサファイアなど多くの宝石・鉱石が使われており、一歩踏み入れればまさに豪華絢爛、建築のために帝国の国庫が破産しかけたというから驚きである。念のために言っておくがこの美しい壁の中に食物繊維等は含まれていない。


 さて、タージ・マハルが建てられたことには面白い背景がある。タージマハル建設を命じた十七世紀当時の皇帝は名をシャー・ジャハーン(世界の王、の意)といった。じゃあチャーハンではない、シャー・ジャハーンだ。彼には愛する妻ムムターズ・マハル(宮廷の選ばれし者、の意)がいた。彼の妻に対する溺愛ぶりは大変なもので、たとえ遠征であれ戦場であれ、必ず妻を連れて行ったという。


 しかし身ごもった状態で遠征に付き合ったのが祟ってか、妻ムムターズ・マハルは一六三〇年、十四番目の子供を生んだのち、三十八歳の若さで息を引き取ってしまった。


 絶望した! シャー・ジャハーンは絶望した!


 彼は国中に対し二年間喪に服するよう命じ、自らも悲しみの殻に閉じこもった。それ以来彼は変わった。亡き妻への愛だけが彼を突き動かした。二年の喪の後、彼はタージ・マハルの建設に取りかかる。そう、タージ・マハルは宮殿ではない。それは妻に対する夫の愛の塊であり、思い出を永久に封じ込めるためのタイムカプセルであり、同時に妻の霊を祀る神聖な霊廟であるのだ。タージ・マハルという名前は妻ムムターズ・マハルの名を変化させたものである。


 シャー・ジャハーンは取り付かれたかのように建設に没頭し、国庫を破産させんばかりの勢いでタージ・マハルは完成に向かったが、当然の報いとしてシャー・ジャハーンは支持を失うこととなった。彼の元から家臣は遠のき、ついには世継ぎであるアウラングゼーブ帝の手によって彼は幽閉された。幽閉された城の中から彼はタージ・マハルの完成を眺め、そしてそのまま城から出ることなく、息を引き取ったという。彼は川の対岸にタージ・マハルと同じ形の黒い霊廟を自分のために建てることも計画していたが、それが実現することはなかった。その代わりに、シャー・ジャハーンの棺はタージ・マハルの奥深くの、妻の棺の横に納められた──


 なんだかロマンチックな話ではないか。国王という立場を忘れて国民を振り回すほど、妻を愛した夫。僕はこの感動的なストーリイを聞いて以来、タマネギを直視できない。タマネギを見るとタージ・マハルを思い出して涙が出るのだ。特に、包丁で切ると、出る。




***




 最近知ったのだが年末は家族で中国に行くのだという。そういう大切なことはもっと早く教えろ。
 僕の知らない間に準備は着々と進んでいたらしく、飛行機は何時のどの便に乗って、なんていう基本的なことはすでにあらかた決まっていた。あとはパスポートを取りさえすればミッションコンプリートだというから、母親に渡された指定の用紙にちょちょいと必要事項を記入してサインをした。その結果として僕は二億円の負債を抱えた。次の日から母親は姿を消した。これが最近流行している家族旅行詐欺の実態だ。警察によれば、今まで僕が母親だと思っていた人間は赤の他人だという。二十年間気付かなかった。




***




非常袋の中から


「 あれ? ‥‥親父の遺書だ。 」
「 マジかよ。何て? 」
「 えーと、『乾パンと水と缶詰は長男のたかしに、ラジオと懐中電灯と救急箱は次男のゆうたに‥‥』 」
「 ‥‥俺の相続分、ゆうたにやるよ。 」
「 いや‥‥いい。 」




***




 冬の寒さに耐え、ついに雪をふるい落とした黒い大木は、丘の上に凛凛しくそびえ立つ。よく見るとその木肌には、新しい生命の息吹が、自分の出番を今か今かと待ち望み、期待に胸を膨らませている。暖かな風が喜びと歓迎の詩を歌い、我我は春の到来に耳を傾ける。


 歯がゆいぜ卒業生答辞ひゃっほう




***




 眼鏡が壊れた。夜寝る前に外して、棚の上に置いて、次の日の朝見たら真っ二つになっていた。ということは僕が寝ている間に壊れた可能性が非常に高いのだが、深夜僕の枕元で何者かが眼鏡を破壊していたなんて、想像するだけで恐ろしさのあまり吐血しそうなので考えるのをやめた。それよりも眼鏡のないこれからの生活を考えることにした。僕はポジティヴなのだ。
 ひとまず部屋を出て階下の洗面所に向かう。いくら目が悪いからといってまったく見えないわけじゃないし、なにしろ勝手知ったる我が家だ。裸眼でも日常動作をする上ではさほど問題ない。途中で窓を破って飛び込んできたケルベロスには意表を突かれたが、洗面所に付く頃までの間は、なんとか犠牲を右手一本にとどめることができた。よかった。手が一本あれば歯は磨ける。




***




 夜になるとハイテンションになる人というのは世の中に少なからずいる。あまつさえそれが一年のものぐさ納めの大晦日、除夜ともなれば、それはもう、浮き足立って天にも昇らんほどのハイテンショナーが全国各地で見受けられる。彼らは冬の闇夜でも煌々と光り輝き、こうして現在の天の川ができたのでした。


 それにしても、いやはやハイテンションというものは恐ろしい。なめてはいけない。隣に座っている人に少しでもハイテンションの兆候がみられたら、逃げたほうが賢明だと声を張り上げて主張したい。別に大丈夫だろ、と油断して指でつっつこうものなら、たちまちあなたの顔面はこんにゃくで覆われる。あの感覚は一生忘れることができないタイプのものだ。


 僕の顔にこんにゃくを投げつけてきた男は名をタクヤという。タクヤとの最初の出会いも大晦日だった。僕は毎年大晦日になるとろくな事がなかったが、その年は特に最悪だった。友人と年越しに出かけた僕は、人がゴミのようにいる明治神宮で絵に描いたかのような迷子になり、目の前を黒猫が三匹ぐらい横切り、おまけに草履の鼻緒が切れた。携帯電話は圏外だった。僕は途方にくれてベンチに座り込んだが、ベンチのペンキは塗りたてだった。除夜の空を見上げて、僕は笑いながら少し泣いた。漆黒の空に浮かんだ無数の星が僕をあざ笑っていた。年の変わり目が近づくにつれて煩悩が増えていくのを感じつつ、僕はなかばすべてを諦めふらりと立ち上がり、おみくじを引いてみようと思いついた。今なら普段はお目にかかれない大凶が出るに違いなかった。ところがくじ引き所で引き当てた七十七番は大吉だった。僕はなんだか無性に腹が立ち、言いようのない怒りに身を任せて隣にいた男に足払いを決めた。足払いは完璧に決まったが、一つ誤算があった。僕の非常に洗練された足払いを前に、常人ならばなす術もなくうち崩れ、しかも自分がなぜ転んだのか見当も付かずに頭をひねるはずだったが、タクヤは違った。タクヤはハイテンションだった。彼は驚くべきことに足払いされた直後、地面に倒れこむよりも早く、犯人が僕であると察知し、目にもとまらぬ速さでこんにゃくを投げつけてきた。こうして僕の顔面神経はこんにゃくの味を覚えることになった。


 僕の脳内がこんにゃくの肌触りとこんにゃくのにおいで埋め尽くされてうまく機能せず五里霧中している間に、ハイテンションのタクヤはケタケタ笑いながら起き上がり、コートに付いた砂利を払うと、これまたケタケタ笑いながら颯爽と去って行ってしまった。僕が正気を取り戻した頃にはすでにタクヤの姿はなく、あとに残されたのはこんにゃくと大吉の札だけとなった。僕は敗北感を感じながらこんにゃくをかじった。やけに美味いのが悔しかった。


 この後僕はなんとか友人に救出され、背中にべっとりと付いたペンキを訝しがられつつ無事新年を迎え、帰路に着くことができたが、事件はこれで終わってくれなかった。二日後の夜、つまり一月二日の深夜、ガラガラの最終電車の中で僕とタクヤは見事再会を果たした。


 高校の新年会を違法に終えて軽く酔った僕は、うとうとしながら一人心地よく電車に揺られていたが、ふと間近に人の気配を感じ、顔を上げた。その瞬間、僕の顔にこんにゃくが押し付けられた。ところが先日僕の肝を震え上がらせたはずのその物体はひんやりと気持ちよく、どこか官能的で、不思議と抵抗する気にならなかった。こんにゃくの向こうから声が聞こえてきた。
 「ハッピーニューイヤー。また会ったね、プリティーガール」
 人なつっこいハイテンションな声は聞き間違えようがなかった。こんにゃくをはがしながら僕は言った。
 「ハッピーニューイヤー、あいかわらず見事なこんにゃくさばきで……。完敗。僕の負け。で、何?」
 彼は「別に」と言って僕の隣に腰掛け、他愛もない世間話を始めた。彼の名前がタクヤであること。常にコートの裏ポケットにこんにゃくを常備していること。こんにゃくは京から取り寄せた一級品を使っていること(美味いはずだ!)。大晦日の夜に明治神宮に出かけたこと。僕の足さばきが見事だったこと。でもそのあと、こんにゃくを投げつけられたときの僕の固まった顔の方が見事だったこと──。僕が笑うと、彼も笑った。こうしていることがとても自然な気がした。二人で一緒にこんにゃくをかじった。初恋だった。




***




TAKE1


「 ドラえもん! 」
「 のび太の! 」
「「 主人公争奪戦!! 」」




「 ……僕が勝てる見込みは 」
「 もちろん無いよのび太君 」




***




TAKE2


「 ドラえもん! 」
「 ……のび太…の 」




「 いじけるなよのび太君 」




***




「 ドラえもん、一回逆でやってよ 」
「 いいよ 」


TAKE3


「 のび太! 」
「 ドラえもんの! なんて語呂が悪いんだ! 」
「 ………… 」




「 気は済んだかいのび太君 」




***




参考文献(ネットサーフィンへのいざない)


アルファルファモザイク - よく見るが意味不明なネット用語


新・サイコドクターあばれ旅 - ドッペルゲンガー


乾パン


ユネスコ世界遺産 - タージ・マハル廟


チャーハン虎の巻


さよなら絶望先生


Filtration - 実体験! オレオレ詐欺の手口


答辞の書き方


GilCrowsの映像技術研究所 - (YouTube)バイオハザードビビリプレーまとめ


明治神宮


妖怪 こんにゃくさばき


Wikipedia - ボク少女


AmebaVision - のびたVSドラえもん


面白フラッシュ倉庫 - ドラえもん最終回(偽)






***




 江上の破屋からお送りしました。
 良いお年を。





著者:「江上の破屋」ドカント二世

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