除夜のテキストラーイク祭り


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 ついに恐れていたことが起きた。ついに僕たちの町にもムシキングがやってきた。長老が言うにはそいつはけったいな野郎らしい。しかも長老がカタカナが読めない。これは手強い。ムシキングは町唯一のスーパー、武田商店に現れた。店長のT・武田は非常に恐れをなして、町を飛び出してどこぞの中学校の国語科教師に就任したそうな。こんなおろかなやつはどうでもいいとして、ムシキングについて報告しよう。ムシキングは非常に硬い。どうやらこいつはムシキングという名前だからムシっぽい。最近のムシは何故こんなに硬いのだろう。僕が幼い頃買った「ハムスター育て方入門」にはそんなこと載ってなかった。僕は衝撃でしばらくおっかない状況(左ワキを右ひざに擦りつける格好)になった。
 緊急事態が起きた、そのムシキングに大量の子供が列をなした。その子供らの手には数枚の小銭と何かしらのカードがぐいと握られていた。僕はガキどもに負けじと200円ほどをぐいと右手に握り、右手が鉄っぽい匂いになってしまったり、そして左手には小倉優子のテレカをわっしと握り、よく見るとそれは小椋桂のコンサートチケットだったりという僕を取り巻く悲しい現実にも負けずに僕は並んだ。
 ついに僕の番が来た。今の僕の気持ちは高校球児。僕はそれについて深く語らない。まずは金を入れよう。そして前の子供を凝視していたから僕には分かる。カードをスラッシュする。僕は勢いよくスラッシュした。少し小椋桂の顔が歪んだが僕は気にしなかった。そこで不意に長老が僕に話しかけた。


 「ワシ、カタカナ読めるようになったんじゃ。ムシキング。ほらな。
  この手紙見てみろ。カタカナでお前への気持ちを書いた。読むぞ。
  ア、イ、シ、・・・・。」


 僕は長老に小椋桂のコンサートチケットをスラッシュした。死んだ。


 僕は長老の葬儀を訪れた。遺品を探るとその手紙が発見された。どうやら「アイシ」の次には「ングしてくれ」と書いてあった。なるほど長老は先発投手だったんだな。
 僕は長老にロージンバックを供える。帰ろうとすると喪主から、「ロージンと老人を掛けやがって。」と笑いながら何かでスラッシュされた。


 葉加瀬太郎のコンサートチケットだった。
 僕は次の世で葉加瀬太郎がパソコンで一発変換出来るようになる事を祈って天国へ向かった。






著者:「サニーモーニング」 とりにく

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