除夜のテキストラーイク祭り


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「現在-過去を繋ぐもの」




会った瞬間、何か天啓のようなものを感じた。


初めての一目惚れ。


背が高いとか、男前とか、全く目を惹くものはなかったけれど、彼の纏う危険な香りみたいなものに、激しくやられた。


2人の関係はこんな言葉から始まった。




「やらせて」




あまりにもストレートすぎる言葉に戸惑ったが、何度かの押し問答の末、私は彼に抱かれた。


こんなふうに始まった関係だったから、時に私はひどい扱いをされた。




酔った彼に呼び出され、赴いたホテルでは、金をばらまかれた。


私はそんな女じゃない。


あたりに散らばる万札を拾い集め、高いびきの彼の枕元にそっと置き、立ち去ったあの時。


「奥さん以外の何にでもしてあげる」


甘い口調でそう囁かれたあの時。


あなたにとって私は何ですか?




そんな彼も、つきあいが長くなるにつれ、


「俺の居場所はここしかない」


「ずっと一緒にいたい」


そんな言葉を発するようになってきた。




居心地のいい場所。




それは私にとっても同じだった。








でも、彼の私への愛が深まると同時に、私は試されることが多くなった。


酔った彼は、私の目の前で他の女の子にちょっかいを出す。


何度も肩に触れてみたり、耳元で囁き合ってみたり。




そのたびに私の内では真っ赤なものが煮えたぎる。


笑顔の私のまぶたの裏は、本当に赤く染まる。


苦しい。








その度に、彼と私は言い合いになった。




なんでそんなに自分に自信がないんや!俺を信じろ!


こんな状況で何を信じろって?!ふざけんな!








そして、何度となく私は別れを決意した。


泣いて泣いて、体中の水分が出尽くしたかと思えるほど肌もかさかさになり、苦渋の決断をしてなお、彼に会うと気持ちが揺らぐのだ。




私の体が初めて喜びを知ったのは、彼に会ってからだった。


体の相性というのがあるとは聞いていたが、これがそうか、と思わざるを得ないほど私の体は喜んだ。


私の体が放出する水分でシーツはぐしょ濡れになる。


こんなこと、これまでの男性とはなかった。そして彼も、他の女にはそこまでの喜びを与えたことはなかったという。




別れを決意しても半ば強引に体を開かれることで、私は自分の意思の弱さを知らしめられる。




やっぱり、この人とは別れられないんだ。




そんなことの繰り返し。






「俺よりいい男が現れない限り、俺は別れない」


「別れてもお前のそばにいさせてくれ」





きっと、彼と別れられたとしても引きずるだろう。一生。




度重なる彼から私への試練に疲れ、抱かれるたび体は喜んでも、抱かれた後、猛烈な虚しさが私を襲うようになった。




このまま一緒にいたら、きっとこのままなんだ。




私は奥さん以外の何にでもしてもらえる。


でも、奥さんにはしてもらえない。




じゃあ、出会う前の関係に戻してもらえませんか?








…そして、彼と別れた。


















一生引きずるだろうと思った彼の事は、日常の些事の中、思い出さない事が増えた。


みんなで楽しく飲んでいる時間など、忘れたといっても過言でないくらい、彼の事は心にない。






時の流れは残酷だけれど、優しい。






なのになぜだろう。今、彼を思い出し、彼の事が頭から離れない。




震える指で携帯から彼の番号を呼び出す。






コール3回で、過去と現在が繋がる。






「…もしもし?どした?」




変わらない、深みのある優しい声。




「…元気?」


「元気やで。お前はどうしてる?」


「うん。元気。番号変わってないんやね」


「お前もあの頃の番号のままやな。嬉しかった」


「あの…あのね…」


「うん?」



























































「トイレの水流どうやって変えた?!」







































「…何?」








「あのさ、トイレの水の流れ強くして行ったことあったやん?アレ、どこで調節した?!」








「…え?」




「トイレ詰まったんよ。でもうちトイレ水漏れしてるやん?アレのせいでちょっとずつずっと水流れっぱやん。溢れてんねん!!」






「…アレは確か10円玉を持って行って、上から繋がっているパイプをずっと下まで来てL時型になってるとこに、ちょうど10円玉が収まるようなマイナスのネジがあって、左にまわすと水量が増える」




「…わかった!」




「右に回すと止まるから右に回すなよ」




「いや、私は今止めたくて電話した」




「そうか…分かった」




「ありがとう!じゃっ!」




「あっ…おい!もしもし?!お前今どうし」








プツッ








私の人生最高の恋は今本当の終止符を打った。






しかし私の闘いはこれからなのである。






午前中、寝ぼけ眼で猫トイレの砂を掃除した際、許容量を超える猫砂を人トイレに流して詰まらせてしまったのである。




常ならある程度放置していればいつの間にか流れているのであるが、今回はそうはいかなかった。


トイレたわしをがしがしと排水溝に突っ込んでも流れない。


手が水に浸る事を厭わず奥の奥まで突っ込もうとも、びくともしない。


仕方なく、水をすくい、洗面所に流す。


そう、私は過去の男を懐かしんで電話したわけではない。


すくってもすくっても後から後から流れてくる水を何とかすべく、私は電話したのである。






…よし、これでいい。


私の事はもう忘れていたとしても、このトイレの水流の秘密を覚えていてくれていたことが私には嬉しい。ありがとう。




ひとまず再びたわしを突っ込んでみる。


だが、トイレたわしの柄が短いため、やはり難所までたどり着かない模様。




何か、適度にしなりつつもう少し長いものはないだろうか。




そして私が王様のアイディア的にひらめいたものは








どるるるるるるるるるる…(ドラムロール)










針金ハンガー!!!










針金ハンガーをぐいぐいと伸ばしU字型にし、突っ込む。


が、思いのほかきっちり成型されているのか途中で広がってしまう。






この役立たず!!!








いや、彼は本来の任務は全うしていた。


彼を強引に違う任務に就けようとした私が悪いんだ。私の采配ミスだ。


長いことありがとう。安らかに眠れ。






しかし針金ハンガーくんが殉職した後他に適任と思われる者がいない。


自転車の空気入れのチューブを突っ込みそこにエアーを送ってみてはどうだろう…
こう、内部でビッグバン的な衝撃を与える事により全て終結させることができるのでは?




だが、空気入れは手にした瞬間私の片腕となるには度量が足りない事に気づいた。






この短小!!






私は今猛烈にかっぽんかっぽんをメンバーに入れていなかったことを後悔している。




かっぽんかっぽんとは、吸盤的な吸い付きパワーにより詰まりを吸引し、快適なトイレットライフを守ってくれる強い味方なのである。


だが、正直トイレのインテリアにはね~、と思い、メンバーに入れていなかったのである。




ルックスで選ぶとロクなことがない。男と同じだ。








どうする?ここは掃除機くんを…だが、彼の吸引口からボディに入った水分が、彼を数秒のうちに亡き者にするのは目に見えている。


彼はめっぽう水に弱いのだ。






この意気地なし!!!












…もう手段はない。




そうこうしているうちにさらなるピンチが襲う。








うおおおお!早く流れろぉ!!!






トイレたわしの柄を奥まで突っ込み、中で激しくローリング!




どうだ!このテクニック!!!








…だが、こちらが昂ぶれば昂ぶるほど、奴は青ざめ、冷たくなってゆく。








畜生!


こうなったら俺の熱い液体を注ぎ込んでやるぜ!









しゅんしゅんしゅん…








どぼぼぼぼ…














片手鍋いっぱいに沸かしたお湯を注ぎ込む。


これで、固まって流せる猫の砂はきっと溶け出しトイレのパイプから出てゆくことであろう。



















まだダメなのかよ!!焦らしやがって!!












さらに片手鍋にお湯を沸かし、追い討ちをかけようとする…が、この季節、お湯の沸騰まで時間がかかる。




そうこうしているうちにまた青ざめ冷たく…






5~6回お湯を注ぎ、トイレブラシによる刺激を与えた頃、音もなく水は流れた。










アレ?お前いつもはもっといい声出すじゃねーかよ。


なんで…なんで何も言わないんだ?!









いつもは「ゴブァ」とはしたない声を上げて一挙に流れる水が、今日は静かに、引き潮のように流れて行った。








お前…ほんとはイってないんだろ?!
こいつめ!こいつめ!!




ああ…だんさんそんなご無体な…そんなにされたらアテもう…もう…










「ゴブァ」














ああ…これで…これで私も…












立ちション



ちぃぃぃぃぃ…







































しかし、闘いはまだ終わっていなかった。






トイレの流水を一度止めたことにより、タンクに不具合が起こっていた。






み…水が止まらない!!!!








>「右に回すと止まるから右に回すなよ」




私は今、昔の男をを邪険にした事を猛烈に後悔している。







著者:「ぷりりな日々」 puriri

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